下痢(止まらない・元気なのに下痢が続く・腹痛は無し)

下痢が止まらない…
元気なのに下痢が続く…

下痢が止まらない…元気なのに下痢が続く…下痢とは、便が固形ではなく、ほとんど液状になって排泄されることを言います。日常生活がままならないほどの激しい・繰り返しの下痢が見られるケースから、軟便に近い、それほど日常生活には困らないケースまで、程度はさまざまです。また、大腸がんのように、下痢と便秘を繰り返す、といったこともあります。
ひどい下痢の場合はもちろんですが、軽い下痢が続いているという場合には、たとえお身体が元気であっても、お早めに当院にご相談ください。背景に何らかの疾患が隠れていることがあります。

腹痛がないのに下痢が続く
原因はストレスかも?

腹痛がないのに下痢が続く原因はストレスかも?過敏性腸症候群、急性胃腸炎など下痢をきたす疾患のほとんどは、腹痛も伴います。
その中で「腹痛がないのに下痢が続く」といった場合には、原因として下剤の使用を考えます。用法・用量を守っているのに下痢を引き起こしているのであれば、その旨を処方医に伝えてください。
その他、ストレスから自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが低下し、下痢になるといったこともあります。ただその場合も、「ストレスが原因だから病気ではない」と決めつけるのは厳禁です。必ず、医療機関を受診して、検査・診断を受けるようにしましょう。ストレス性の下痢であったとしても、その改善のための治療・アドバイスが受けられます。

下痢が続いていませんか?
下痢の症状チェック

  • 下痢が何日も続いている
  • 下痢と便秘を繰り返している
  • 発熱や嘔吐などを伴う
  • 下痢に血液のようなものが混じっている
  • 突然、激しい下痢が始まって日常生活に支障が出ている
  • 1日に何回もトイレに駆け込んでいる

下痢といっても、その症状の現れ方は多様です。お困りの際には、お気軽に当院にご相談ください。

「急性下痢」「慢性下痢」
の原因や疾患

短期間での改善が期待できる「急性下痢」と、何週間も続いている「慢性下痢」に分けて、その原因や疾患についてご説明します。

急性下痢

急性下痢は、浸透圧性下痢と、分泌性下痢に分類できます。

浸透圧性下痢

暴飲暴食、脂っこいもの・刺激物の摂り過ぎなどを原因として、内容物の水分を腸がうまく吸収できないことで発生する下痢です。

分泌性下痢

ウイルス・細菌感染、食中毒、食物アレルギー、薬の副作用を原因として、腸粘膜の分泌液が過剰になることで発生する下痢です。

慢性下痢
(3~4週間以上続く下痢)

一般に、3週間以上続く下痢のことを慢性下痢と呼びます。慢性下痢の場合には、以下のような疾患を疑います。

過敏性腸症候群

腹痛とともに、下痢や便秘をきたす病態のことを指します。「下痢型」、「便秘型」、下痢と便秘が交互に訪れる「交代型」、腹部の張りやゴロゴロなる症状が見られる「分類不能型」に分けられます。
特に下痢を伴う場合には、突然の激しい腹痛・下痢が1日に何度も繰り返されるため、日常生活に大きく影響します。
はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレスとの関連が指摘されています。

詳細はこちらへ

炎症性腸疾患
(クローン病・潰瘍性大腸炎)

小腸・大腸を中心とした口から肛門までの消化管のいずれかで慢性炎症を起こす「クローン病」、大腸のみで慢性炎症を起こす「潰瘍性大腸炎」は、いずれも厚生労働省から難病の指定を受けています。
下痢、血便、腹痛、体重減少といった症状が見られます。

大腸がん

食生活の欧米化、運動不足、肥満、喫煙などを原因として発生する大腸のがんです。
初期症状が乏しく、ある程度進行してから、腹痛、下痢、便秘、血便、便が細くなる、食欲不振、体重減少などの症状が出現します。下痢と便秘を繰り返すケースも見られます。

詳細はこちらへ

1週間以上下痢が続く…
受診の目安

突然の激しい下痢に見舞われた場合、嘔吐や発熱などを伴う場合には、すぐに医療機関を受診してください。
また、日常生活にそれほど支障をきたさない軽い下痢の場合も、1週間以上続く場合には、何らかの疾患を疑い、医療機関を受診することをおすすめします。
下痢という症状は、排便そのものを辛くするだけでなく、不安から外出や行動が制限されたり、便失禁をしてしまったりと、社会生活に支障をきたします。症状に気づいた時には、お一人で悩まず、当院にご相談ください。

下痢の検査

問診では、便の状態(便の硬さや量、血便の有無)、排便の頻度、最近の食生活の状況、既往歴・家族歴、服用中の薬などについてお伺いします。その上で、必要な検査を行っていきます。
検査には、血液検査、腹部超音波検査、便潜血検査、大腸カメラ検査などがあります。当院では、痛みや不安感がほとんどない、鎮静剤を使った大腸カメラ検査を行っております。

大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)の詳細はこちらへ

下痢の治療

下痢を引き起こしている病気が見つかった場合には、その病気に対しての治療を行います。その他、以下のような治療も有効です。

急性下痢の治療

原因に応じて、抗菌薬、整腸剤などを使用した薬物療法を行います。
状態によっては絶食をして胃腸を休める必要がありますが、この間も脱水症状を防ぐため、小まめな水分補給を行います。症状が落ち着いてから、消化の良いものを少しずつ食べていきます。
背景に食習慣の乱れがある場合には、再発防止のための食事指導を行います。

慢性下痢の治療

慢性下痢の場合は、何らかの病気が原因となっていることが多いため、その病気の治療が優先されます。
基本的に、絶食は必要ありません。栄養価が高く、消化の良いものを食べ、アルコール・刺激物はできる限り避けます。

下痢が続くときの
食事のポイント

栄養価が高く消化の良い
ものを食べる

少量でも栄養が摂れ、かつ消化の良い食材を使いましょう。
穀類ではおかゆ・うどん、魚介類では白身魚、肉類では脂の少ない赤身、野菜ではほうれん草・白菜、果物ではバナナ・リンゴ、乳製品では牛乳・ヨーグルト、卵などがおすすめです。

食物繊維・脂質の多い
ものを避ける

豆類・野菜類・果物類・きのこ類・海藻類などの食物繊維の多い食材、脂身の多い肉・青魚・ナッツ類・生クリームといった脂質の多い食材は、消化に時間がかかります。
摂り過ぎないように注意してください。

刺激物・冷たいものを
避ける

カレー、わさび、からし、柑橘類、酢、コーヒー、アルコール、炭酸飲料などの刺激物は、胃腸の粘膜を刺激したり、胃酸の過剰な分泌を招くことがあります。また、冷たい食べ物・飲み物も下痢の原因となります。
できるだけ避けましょう。

できるだけ油を使わない
献立・調理法を選ぶ

煮る、蒸す、茹でるといった方法であれば、油を使わずに調理ができます。揚げる、焼くといった油を使う調理法と比べると、胃腸への負担が軽減されます。
おかゆ、煮込みうどん、煮物(野菜・魚・肉など)、ゆで卵、しゃぶしゃぶなどの鍋物、スープなど、油を使わない献立を意識しましょう。

食材を小さくカットする

食材を小さくカットするだけで、消化が良くなり、胃腸への負担が軽減されます。
ミキサーなどを使うのも良いでしょう。