睡眠障害・不眠症

睡眠障害・不眠症「睡眠障害」の中でもお悩みの方が多いのが「不眠症」です。
身体や脳の疲れが取れないことに加え、「眠れない」こと自体がストレスとなり、日中のパフォーマンス低下、病気のリスク上昇を招きます。 みずかみクリニックでは、不眠症をはじめとする睡眠障害の診断と治療を行っています。
睡眠にかかわるお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

睡眠障害とは

通常、私たちは夜間に眠り、日中に活動をします。何らかの原因によって睡眠に影響が生じ、日常生活に支障をきたしている状態の総称が、「睡眠障害」です。不眠症、中枢性過眠症、概日リズム睡眠・覚醒障害など、いくつかの種類がありますが、中でももっとも多いのが、不眠症です。

睡眠障害の「不眠症」とは

明日のイベントが楽しみで眠れない、プレゼンがうまくいくか心配で眠れない、あるいはなんとなく眠れないといった経験は、誰にでもあるものです。ただ、1日や数日で解消するものについては、病的なものではなく、基本的に心配ありません。実際に、緊張やストレスといった原因が排除されれば、ほとんどのケースでよく眠れるようになります。
不眠症では、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚め二度寝ができないといった慢性的な問題があり、そのために日中の体調に支障が出るといったことが続きます。

アルツハイマー型認知症

認知症の中でももっともよく見られるタイプで、全体の半数以上を占めています。男女別の発症率では、やや女性が高くなります。
アミロイドβ、タウといったたんぱく質が脳に溜まり、神経細胞が障害されます。その主な原因としては、生活習慣の乱れおよび生活習慣病、遺伝が挙げられます。

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症に次いで多いのが、レビー小体型認知症です。男女別では、男性に多くなります。
レビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質が脳に溜まり、神経細胞が障害されます。アルツハイマー型認知症と比較して画像検査で確認される脳の萎縮は軽度と言われています。それ以上の根本的な原因については、未だはっきりしたことが分かっていません。

脳血管性認知症

レビー小体型認知症と同程度の頻度で見られるのが、脳血管性認知症です。男女別では、やや男性の割合が多くなります。
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を主な原因とします。障害された脳の部位によって、症状が異なります。アルツハイマー型認知症を合併するケースも少なくありません。

前頭側頭型認知症

タウ、TDP-43といったたんぱく質が溜まり、前頭葉と側頭葉を中心に神経細胞が障害されて発症する認知症です。それ以上の根本的な原因については、はっきりしたことが分かっていません。
画像検査ではそれぞれにはっきりとした脳の萎縮が認められます。

不眠症のタイプ・種類

不眠症は大きく、以下の4つに分類できます。2つ以上が同時に発症するということもあります。

入眠困難

布団に入ってから寝付くまでに30分~1時間を要する、いわゆる寝つきの悪いタイプです。緊張やストレス、不安などが背景にあることが多くなります。

中途覚醒

夜中に何度も目が覚めるタイプです。多くは、その後もなかなか眠れません。年齢を重ねるほど頻度が高くなります。

早期覚醒

本来起きるつもりだった時間(目覚ましをセットした時刻)よりも2時間以上早く目が覚め、その後二度寝をすることができないタイプです。
ご高齢の方に目立つ不眠症です。

熟眠障害

十分な時間眠ったはずなのに、熟睡感が得られないタイプです。

不眠症の原因は?

入眠困難、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といったタイプごとに、その主な原因をご紹介します。
ただ、不眠症ではさまざまな原因が複合的に絡み合って症状が現れるため、はっきりとした原因が特定できないこともあります。

なかなか寝付けない「入眠困難」の原因

緊張、ストレス、不安などが原因になることが多くなります。仕事、学業、家庭および人間関係などに解決困難な問題を抱えているようなケースです。うつ病を合併しているケースも少なくありません。
その他、カフェインの作用によって入眠が妨げられることもあります。

夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」の原因

高血圧や心臓疾患に伴う胸痛、呼吸器疾患に伴う咳、腎臓病に伴う頻尿、アレルギー疾患に伴う痒みや鼻づまり、関節リウマチに伴う関節の痛み、睡眠時無呼吸症候群に伴う無呼吸(息苦しさ)などが原因になることが多くなります。
また、アルコールが原因になることもあります。アルコールは入眠を助ける一定の作用がありますが、入眠後の睡眠を浅くし、中途覚醒を引き起こします。

予定より早く目が覚め二度寝ができない「早期覚醒」の原因

もっともよく見られるのが、加齢を原因とするものです。加齢によって血圧・体温・ホルモン分泌などの生体リズムが前倒しになることで、早くに目が覚めます。またそもそもの必要な睡眠時間が少なくなっている影響もあります。
緊張やストレス、不安によって、朝早くに目が覚めてしまうというケースも少なくありません。

十分な時間眠ったはずなのに熟睡感が得られない「熟眠障害」の原因

降圧剤、甲状腺の薬、抗がん剤などの副作用が原因になることが多いようです。また、カフェインやアルコールも原因の1つとなります。中途覚醒と併発することも多いため、高血圧・心臓疾患・腎臓病・関節リウマチ・睡眠時無呼吸症候群などの病気の影響も考慮する必要があります。

不眠の方がよくある症状

不眠症のタイプごとに、具体的な症状を改めてご紹介します。

入眠困難の症状

布団に入ってから寝付くまでに30分~1時間を要します。

  • 布団に入って目を閉じても、なかなか眠くならない
  • なかなか眠れないのでスマホを見たり本を読んでしまい、余計に眠れなくなる
  • 「布団に入っても眠れない」という気持ちから、布団に入る時間が遅くなる

中途覚醒の症状

夜中に何度も目が覚めて、その後もなかなか眠れません。

  • 尿意、無呼吸、痛み、咳などがきっかけで目が覚める
  • 痛み、咳などが続いてなかなか眠れない
  • 眠ることを諦めて活動してしまい、余計に眠れなくなる

早期覚醒の症状

本来起きるつもりだった時間よりも2時間以上早く目が覚め、その後も二度寝ができません。

  • 日中になってから眠くなる
  • 2~3時間の昼寝をしてしまい、その日の夜の睡眠に支障をきたす・翌朝早く目が覚める

熟眠障害の症状

十分な時間眠ったはずなのに、熟睡感が得られません。

  • 朝、すっきりと起きられない
  • 布団から出るのに時間がかかる
  • 日中の仕事、学業などのパフォーマンスが低下する

不眠症(睡眠障害)の治し方

不眠症(睡眠障害)の治し方不眠症の治療では、主に薬物療法を行います。従来薬に加え、新薬も採用しておりますので、より細やかな処方が可能です。
その他、生活習慣、生活リズムの改善などについても、お一人おひとりの現状を踏まえてアドバイスをいたします。夜勤などで不規則な生活を強いられている方も、まずは一度、ご相談ください。

不眠症の薬物療法

オレキシン受容体拮抗薬

デエビゴ

オレキシン受容体拮抗薬に分類される新薬です。適応となるのは、入眠困難、中途覚醒です。
脳内で覚醒状態を維持するオレキシン(神経ペプチド)の働きを抑制することで、睡眠を促します。
類似薬として同じオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラがありますが、デエビゴの方が睡眠を誘発する作用は強くなります。

ベルソムラ

従来からあるオレキシン受容体拮抗薬です。適応となるのは、入眠困難と中途覚醒です。
デエビゴと同じ機序で、オレキシンの働きを抑制し、睡眠を促します。

GABA受容体作動薬

脳の興奮を抑える神経伝達物質(GABA)の働きを促し、脳を休ませることで睡眠を促進します。
従来薬のほとんどは、このGABA受容体作動薬に分類されます。効果が得られやすい一方で、依存性、耐性が生じることがあるため、慎重にコントロールします。
作用時間が短い「ルネスタ」「マイスリー」「ハルシオン」、やや短い「レンドルミン」、中間型の「サイレース」、長期間型の「ドラール」といった種類が揃っていますので、不眠症のタイプに応じた選択ができます。

メラトニン受容体作動薬

体内時計の調整にかかわるメラトニンの受容体に結合し、睡眠を促したり、睡眠リズムを改善したりします。比較的新しい薬です。適応となるのは、中途覚醒、熟眠障害です。
GABA受容体作動薬のような耐性・依存性が少なく、自然な眠りをもたらします。代表的な薬剤に「ロゼレム」があります。

生活習慣で出来る改善方法

不眠症は、生活習慣を見直すことで一定の改善が期待できます。どれも難しいことではありませんので、ぜひお試しください。

  • 休日を含め、毎日同じ時刻に起床する
  • しっかりと朝食を摂る
  • 3食は、できる限り毎日同じ時間帯に摂る
  • 日中は、しっかりと活動する
  • 適度な運動習慣を身につける
  • 夕方以降、カフェインの摂取、喫煙を控える
  • 飲み過ぎを控える、寝酒をしない
  • 就寝前2時間、特に布団に入ってからはスマホを見ない
  • 寝室の温度、湿度を調整する(温度20℃、湿度50~60%が目安)
  • 眠くなくても、毎日決まった時間に布団に入る
  • なかなか眠れない場合も、気に病まない
  • 生活習慣病などの基礎疾患がある場合には、きちんと治療を受ける

不眠症に漢方薬が効く?

不眠症には、漢方薬も有効です。
依存性や耐性などが心配な方、西洋薬に抵抗があるという方は、ご検討ください(漢方薬に副作用がないわけではありません)。

黄連解毒湯

不眠の他、イライラ、月経前症候群(PMS)、更年期障害、湿疹などにも有効です。
主に、のぼせて顔がよく火照る方に用います。

柴胡加竜骨牡蠣湯

不眠の他、精神不安、悪夢を見るなどの症状に有効です。
主に、抑うつや緊張のある方に用います。

三黄瀉心湯

不眠の他、月経前症候群(PMS)、更年期障害、便秘、痔などに有効です。
主に、のぼせ気味で不安や便秘のある方に用います。

加味帰脾湯

不眠の他、不安、神経症などに有効です。
主に、虚弱体質で、血色の悪い方に用います。

加味逍遙散

不眠の他、冷え症、虚弱体質、月経困難、月経前症候群(PMS)、更年期障害などに有効です。
主に、イライラすることの多い方に用います。

酸棗仁湯

不眠の他、イライラ、歯ぎしり、瞼の痙攣などに有効です。
主に、心と身体が疲弊している方に用います。

抑肝散

不眠の他、イライラ、歯ぎしり、瞼の痙攣などに有効です。
主に、かんしゃく持ちの子どもに用います。

柴胡桂枝乾姜湯

不眠の他、月経前症候群(PMS)、更年期障害などに有効です。
主に、冷え性、動悸・息切れ、神経過敏、悪夢などがある方に用います。

睡眠にかかわるお悩みは、みずかみクリニックにご相談ください

寝つきが悪い・夜中に目が覚める・早朝に予定より早く目が覚める・時間は十分だったのに熟睡感がないなど、不眠症の症状はさまざまな形で現れます。
日中のパフォーマンスに影響するだけでなく、「眠れない」ということ自体がストレスとなり、QOLが低下している方が少なくありません。睡眠不足は、言うまでもなく健康に悪影響を及ぼします。特に慢性的なものになると、高血圧症や心臓病などの原因になることもあります。
患者様お一人おひとりに合ったお薬を処方するだけでなく、現在の生活状況に応じたきめ細やかなアドバイスも行って参りますので、奈良県で睡眠にかかわるお悩みがある方は、ぜひ一度みずかみクリニックにご相談ください。